#005 なぜ、裸足と靴では歩き方が変わる?

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「裸足で歩くと、なんだか歩きやすい。」

「靴を履くと、足の動きが変わる気がする。」

そんな経験はありませんか?

実は、これは、気のせいとは限りません。

私たちの歩き方は、単純に、「筋肉の力」だけで決まっているわけではありません。

足の裏から入ってくる感覚や、靴による足の動きの制限など、さまざまな情報を脳が受け取りながら、その場に合った歩き方を作っています。

今回は、「なぜ、裸足と靴では歩き方が変わるのか?」について、解剖生理学や私の臨床経験から解説いたします。

足の裏は「センサー」のような場所

まず、知っておきたいのが、足の裏には、たくさんの「感覚受容器」があるということです。

私たちは、歩くとき、足の裏から、

・地面が硬いのか、柔らかいのか?
・どちらの足に、より体重がかかっているのか?
・足(足首)が、どのくらい傾いているのか?
・体が、前後左右のどちらに動いているのか?

といった情報を受け取っています。

そして、その情報は神経を通り、脳へと送られます。

脳は、その情報をもとに、

「今、体は、このくらい傾いている!」

「次は、この方向へ足を出そう!」

「このままだと、バランスを崩しそうだから、少し力を調整しよう!」

というように、体の動きを調整しています。

つまり、足の裏は、『体を支える土台』であると同時に、『体の状態を知らせるセンサー』でもあるのです。

裸足になると、足裏からの情報が増える

裸足で歩くと、無論、足の裏が直接的に地面へと触れます。

そのため、靴を履いているときと比べ、地面の硬さや凹凸、傾きなどを感じ取りやすくなります。

たとえば、あなたが、硬い床の上を裸足で歩いているときに、小さな砂粒を踏んだとします。あなたは、

「痛い!」

と、すぐに気づきますよね。

ところが、厚い靴底の靴を履いていれば、同じ砂粒を踏んでも気づきにくくなります。

これは、単純に、「裸足のほうが優れている」という話ではありません。

ここで、あなたに覚えておいてほしい大事なことは、『足に付ける物によって、足から脳へ送られる情報の量や質が変わってしまう』ということです。

靴を履くと、足の動きも変わる

では、靴を履くと何が変わるのでしょうか?

大きなポイントの1つが、「足そのものの動きが変化する」ことです。

靴には、足を保護したり、滑りにくくしたり、衝撃を和らげたりする役割があります。

一方で、靴の形や硬さ、靴底の厚さ、ヒールの高さなどによって、足首や足の指の動きが、裸足とは全く異なることがあります。

特に、つま先部分が狭い靴では、足指を十分に広げたり、動かしたりしにくくなることがあります。

また、靴底が厚くなるほど、地面の感覚が直接伝わりにくくなる場合もあります。

その結果、裸足のときとは違う体の使い方』が自然に生まれることがあります。

歩くとき、足だけが動いているわけではない

ここが、今回のコラムで、特に重要なところです。

歩行では、足 → 足首 → 膝 → 股関節 → 骨盤 → 背骨 → 首肩腕というように、体のさまざまな部分が連動しています。

足の接地の仕方が変われば、そこから上の関節の動きに影響する可能性が大きいです。

たとえば、靴によって、足首の動きが少し変われば、その動きを補うために、膝や股関節の動きが変化することがあります。

さらに、骨盤や体幹の動きまで変化することもあります。

もちろん、これは、「足の動きが変われば、必ず腰痛になる」という単純な話ではありません。

体には、非常に優れた調整能力があります。

多少の変化であれば、筋肉や関節、神経系が、上手に対応してくれます。

だからこそ、「足の使い方が変わった=悪い」ではないということも、しっかり覚えておきたいところです。

「裸足が正解」とは限らない

ここで1つ、逆の視点も大切です。

近年では、「裸足で歩くことは身体に良い」という情報を、YouTubeやSNSで見かけることがあります。

私も、昔は、「とにかく裸足が良いんだ!」と、いろんな方へお伝えしてきました。

確かに、裸足になることで、足裏からの感覚入力が増えたり、足指を自由に動かしやすくなったりするメリットは考えられます。

しかし、だからといって、いつでも裸足で歩くほうが良いとは限りません。

道路には、石やガラスなどの危険物があります。

また、足に痛みがある人や、バランス能力が低下している人、高齢者などでは、裸足で歩くことがかえって危険になる場合もあります。

靴には、「足を守る」という、非常に重要な役割があります。

大切なのは、裸足か靴かという二択ではなく、「その環境や目的に合った足の使い方ができているか」という視点だと、今は考えています。

体は「変化」に合わせて歩き方を変えている

実は、私たちの歩き方は常に一定ではありません。

砂浜を歩くとき。

芝生を歩くとき。

階段を上るとき。

坂道を下るとき。

硬いコンクリートの上を歩くとき・・・。

それぞれで、足や膝、股関節、体幹の使い方は変化します。

これは、体が、今の環境に合わせて動き方を調整しているからです。

裸足と靴の違いも、その1つと考えることができます。

足裏から入ってくる情報が変わる。

足の動きが変わる。

すると、それに合わせて、体全体の動きも変化する。

つまり、歩行とは、決まった動きを繰り返すだけの運動』ではなく、周囲の環境を感じ取りながら、その都度に調整されている運動なのです。

整体で「足」を見る理由

整体というと、肩こりなら肩、腰痛なら腰というように、『症状がある場所だけ』を見るイメージがあるかもしれません。

しかし、体は一つにつながっています。

歩き方を確認するときには、

・足裏の接地
・足指の動き
・足首の動き
・膝の向き
・股関節の動き
・骨盤の動き
・体幹の動き

などを、全体として見ることが大切です。

たとえば、同じ膝が痛いという症状でも、歩き方や体の使い方は、人によって異なります。

だからこそ、どこが痛いか』だけではなく、『体がどのように動いているか』を見ることが重要になります。

さいごに

裸足と靴で歩き方が変わるのは、決して、不思議なことではありません。

足の裏から入ってくる感覚情報が変わり、足の動きも変わるため、それに合わせて、体全体の動きも変化することがあります。

ただし、「裸足=良い、靴=悪い」という単純な話ではありません。

靴には、足を守るという大切な役割があります。重要なのは、裸足か靴かを決めつけることではなく、「足が地面からどんな情報を受け取り、それに対し、体がどう反応しているのか」という視点です。

普段、何気なく歩いている1歩の中に、実は、大量の情報が、瞬時に脳と体のあいだを行きかい、非常に細かな調整が行われています。

もし最近、

「歩き方が、前より変わったと家族に言われた。」

「足が、うまく地面につかない。」

「長い時間歩いたときの膝の痛みが、なかなかよくならない。」

と感じることがあれば、一度、ご自身の歩き方を観察してみてください。体の変化は、意外なところから始まっているかもしれませんよ?

次回予告

「なぜ、朝だけ腰が痛い?」

について、次回のブログで詳しく解説いたします。お楽しみに!

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