#004 なぜ、呼吸だけで体は変わる?

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「深呼吸をすると、なんとなく体が楽になる。」

そんな経験はありませんか?

あるいは、緊張しているときに、「ゆっくり呼吸してください」と言われたことがある方も多いと思います。

では、なぜ、呼吸をするだけで、体の状態が変わるのでしょうか?

実は、呼吸は、単に酸素を取り込んで、二酸化炭素を吐き出すためのものではありません。

呼吸は、自律神経や姿勢、筋肉の働きにも関係する、全身運動なのです。

呼吸すると、体の中では何が起こっている?

呼吸では、肺だけが動いているわけではありません。

横隔膜、肋骨、腹部、背中、首など、たくさんの筋肉が協調して働きます。

息を吸うときには、横隔膜は収縮して下がり、胸郭が広がります。

反対に、息を吐くときには、横隔膜はゆるみ、胸郭が小さくなっていきます。

つまり呼吸は、

「胸郭を動かしながら、全身の筋肉をリズミカルに動かす運動」

とも考えられます。

そのため、呼吸の仕方が変われば、体の使い方も変化します。

呼吸と姿勢は、互いに影響している

たとえば、猫背になって、背中を丸めてみてください。

その状態では、胸郭が十分には動きにくくなり、呼吸が浅くなりやすくなります。

逆に、呼吸をゆっくり行いながら胸郭を動かしていくと、背中や肋骨周囲の動きが変化してきます。

ここで、重要なのは、

「良い姿勢だから呼吸が良くなる」だけではなく、「呼吸が変わることで姿勢や体の動きにも影響する」

ということです。

体は、それぞれの部分が独立しているわけではありません。

呼吸も姿勢も、互いに影響し合いながら成り立っています。

呼吸は自律神経にも関係する

呼吸がおもしろいのは、私たちが「意識して変えられる」のに、普段は、「無意識でも行われている」というところです。

心拍や血圧、消化などは、基本的に、自分の意思だけで自由にコントロールすることはできません。

しかし、呼吸は、

「少しゆっくり呼吸してみよう。」

「息を長く吐いてみよう。」

と、自分の意思で変えることができます。

そして、ゆっくりとした呼吸を行うことで、心拍変動などの自律神経活動に関連する、生理的変化が起こることが分かっています。

特に、ゆっくりとした呼吸では、呼吸と心拍のリズムが連動する、「呼吸性洞性不整脈(※)」が大きくなりやすく、自律神経系の調整に関係すると考えられています。

つまり、

「呼吸を変えることで、体の状態を間接的に変えることができる」

というわけです。

(※) 息を吸うと脈が早まり、吐くと脈が遅くなる、健常者にみられる生理現象です。自律神経が正常に働いている証拠であり、子どもや若い人に多くみられます。

「息を吐く」ことが大切なのはなぜ?

深呼吸というと、「大きく息を吸う」ことをイメージする人が多いかもしれません。

しかし、呼吸を整える場合には、無理に大きく吸うことよりも、苦しくならない範囲でゆっくり吐くことが重要になる場合があります。

呼吸が速くなっているときに、さらに大きく息を吸おうとすると、かえって呼吸が苦しく感じることもあります。

そこで、「頑張って吸う」のではなく、「ゆっくり吐いて、自然に吸う」という呼吸を意識してみます。

呼吸をコントロールしようと、頑張りすぎないこともポイントです。

呼吸だけで「体が変わった」と感じる理由

ここまでの話をまとめると、呼吸によって体が変化する背景には、

胸郭や横隔膜が動く

呼吸に関わる筋肉の活動が変化する

姿勢や身体運動のパターンに影響する

心拍や自律神経活動に変化が生じる

呼吸に意識を向けることで、緊張状態から注意を切り替えられる

など、複数の要素があります。

だからこそ、

「たった数回、ゆっくり呼吸しただけなのに、肩の力が抜けた!

「呼吸を意識したら、体が動かしやすくなった。」

ということが起こり得るのです。

ただし、ここで一つ注意したいことがあります。それは、「呼吸を変えれば、どんな不調でも改善する」という意味ではないということです。呼吸法の効果は、対象となる症状や方法によって異なります。

呼吸は、万能な治療法ではありません。それでも、体の状態を変えるための「入り口」として、呼吸はとても興味深い存在と言えるでしょう。

整体でも、呼吸は重要なポイント

整体では、筋肉や関節の動きだけを見るのではなく、「その人が、どのように呼吸しているのか」ということも、体の状態を知る一つの手がかりになります。

呼吸が浅い。

胸郭が動きにくい。

息を吸うと肩が大きく上がる。

吐くことが苦手。

呼吸が速い。

このような特徴がある場合、単純に、「呼吸が悪い」と考えるのではなく、「なぜ、このような呼吸になっているのだろう?」と、考えることが大切です。

そこには、姿勢、筋緊張、運動習慣、ストレス、睡眠、痛みなど、さまざまな要因が関係している可能性があるからです。

体は、一部分だけを見ても、全体像は分かりません。

まずは、呼吸を変えようとしなくてもいい

最後に1つ、簡単なことを試してみてください。

椅子に座って、普段どおりに呼吸します。

そして、

「胸はどのくらい動いている?」

「お腹は動いている?」

「肩は上下している?」

「息を吐くとき、体はどう変化する?」

と、自分の呼吸を観察してみてください。無理に深呼吸をする必要はありません。

まずは、自分が、どのように呼吸しているのかを知る。それだけでも、自分の体への意識は変わります。

呼吸は、誰もが一日中、無意識に繰り返している動作です。だからこそ、ほんの少し呼吸の仕方が変わるだけでも、体の状態に影響する可能性があります。

呼吸は、肺だけの問題ではありません。

姿勢、筋肉、自律神経、そして、今の自分の状態をつなぐ、体の大切なシステムなのです。

次回予告

「なぜ、裸足と靴では歩き方が変わる?」

について、次回のブログで詳しく解説いたします。お楽しみに!

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