「写真を見たら、自分が思った以上に猫背だった…。」
「家族から姿勢が悪いと言われるけど、自分では普通だと思っている。」
そんな経験はありませんか?
実は、猫背は、自分自身では気付きにくい姿勢の変化のひとつです。
毎日、鏡を見ているのに、なぜ、自分の姿勢の変化には気付けないのでしょうか?
今回は、猫背を自覚しにくい理由について解説します。
猫背は急に起こらない
猫背に気付きにくい最大の理由は、姿勢は、少しずつ変化していくものだからです。
例えば、
● スマートフォンを見る時間が増えた
● デスクワークが長くなった
● 運動する機会が減った
● 疲れると座る姿勢が崩れる
● 年齢とともに筋力や体の動きが変化してきた
など、こうした小さな変化が、毎日の生活の中で、少しずつ積み重なっていきます。
昨日まで背筋が伸びていたのに、今日、突然、猫背になるわけではありません。
数週間、数か月、場合によっては、数年かけて姿勢が変化していくため、自分自身では、その変化を感じ取りにくいのです。
脳が勘違いしている
ここが、とても重要なポイントです。
人間の体には、自分の体の位置や動きを感じ取る、脳神経の仕組みがあります。
これを、『固有感覚』と呼びます。
例えば、目を閉じていても、「腕が上がっている」や「足が曲がっている」と、ある程度はわかりますよね。
私たちの脳は、筋肉や関節などから送られてくる情報をもとに、自分の体が、今、どんな状態にあるのかを常に把握しています。
ところが、同じ姿勢を長期間続けていると、その姿勢が脳にとっての「いつもの状態」になっていってしまうのです。
つまり、本来ならおかしいとされる、前に出た頭や丸くなった背中も、「これが自分の普通の姿勢」として認識されるようになるのです。
そのため、本人は真っすぐ立っているつもりでも、周りから見ると猫背になっていることがあります。
よい姿勢をすると「不自然だ」と感じる理由
猫背の状態に慣れている人が、急に胸を張って姿勢を正そうとすると、
「なんだか苦しい…。」
「反りすぎている感じがする!」
「不自然で落ち着かない。」
と、感じることがあります。
これは、本当に、姿勢を反りすぎているとは限りません。
長い間、脳は、猫背の姿勢を「普通の状態」として感じていたため、少し姿勢が変わっただけでも、違和感として捉えてしまうことがあるのです。
たとえば、傾いている部屋で長時間生活していたら、慣れてきて、その傾きが普通に感じられてしまう…というようなものです。
私たちの感覚は、常に正確というわけではありません。
慣れた状態を、「これが普通の状態なんだ!」と捉える性質があるということを覚えておいてください。
鏡を見ても気付きにくい?
「毎日鏡を見ているから、自分の姿勢くらいわかる!」
と、そう思う方も多いかもしれません。
しかし、鏡を見るとき、多くの人は、無意識に姿勢を整えています。
また、鏡では、主に正面から自分を見ることが多いため、
● 頭が前に出ている
● 背中が丸くなっている
● 骨盤が傾いている
といった、横から見た姿勢の変化には気付きにくいことがあります。
猫背は、正面よりも、横から見たときのほうがわかりやすいものです。
「自分では普通だと思っていたのに、写真を見て驚いた!」
ということが起こるのは、このためです。
猫背は「背中だけ」の問題ではありません
猫背というと、「背中が丸くなっている状態」をイメージする方が多いでしょう。
もちろん、背中の形も重要ですが、実際の姿勢はもっと複雑です。
例えば、
● 頭が前に出ている
● 首が前に傾いている
● 肩が前に入りやすい
● 胸郭の動きが小さくなっている
● 骨盤の位置が変化している
など、体全体のバランスが関係していることがあります。
そのため、「背中を伸ばせば猫背が治る」というほど単純なものではありません。
無理に胸を張り続けることで、腰を反りすぎてしまう人もいます。
大切なのは、ただ「良い姿勢の形」を作ることではなく、自分の体がどのような状態になっているのかを知ることです。
猫背に気付くための簡単なチェック方法
自分では気付きにくい猫背ですが、次のような方法で確認することができます。
① 横から写真を撮ってもらう
自然に立った状態を、横から撮影してみましょう。
このときは、
「姿勢を良くしよう!」
と意識せず、普段通りに立つことがポイントです。
自分が思っている姿勢と、実際の姿勢に違いがあるかもしれません。
② 家族や周囲の人に聞いてみる
毎日、自分の姿を見ている家族や友人は、姿勢の変化に気付いていることがあります。
「最近、背中が丸くなってない?」
「頭が前に出てない?」
と、聞いてみるのもひとつの方法です。
ただし、人によって「良い姿勢」のイメージは違うため、周囲の意見だけで判断するのではなく、参考のひとつとして考えるとよいでしょう。
③ 以前の写真と比べてみる
数年前の写真と現在の写真を比較すると、姿勢の変化に気付くことがあります。
特に、
● 横向きの写真
● 全身が写っている写真
● 自然に立っている写真
などは参考になります。
毎日見ている自分では気付きにくい変化も、時間をさかのぼって比較すると見えやすくなります。
「猫背だから痛みが出る」とは限りません
ここで1つ、知っておいていただきたいことがあります。
猫背や姿勢と、肩こり・腰痛などの症状を、単純に結びつけることはできません。
「猫背=必ず肩がこる」
「姿勢を良くすれば、すべての痛みが治る」
というわけではありません。
痛みやコリなどには、
● 筋肉や関節への負担
● 体の使い方
● 睡眠や疲労
● ストレス
● 運動量
● 神経系の状態
など、さまざまな要素が関係しています。
そのため、猫背を必要以上に怖がる必要はありません。
一方で、長時間同じ姿勢を続けることや、体を動かす機会が少ないことが、体の不調と関係する可能性はあります。
重要なのは、「完璧な姿勢を維持すること」ではなく、同じ姿勢に固まり続けないことだと、私は考えております。
おわりに
猫背は、毎日少しずつ変化していくため、自分自身ではなかなか気付きにくいものです。
そして、私たちの脳は、慣れた姿勢を「普通」だと感じるようになります。
だからこそ、
「自分は姿勢が悪くない!」
と思っていても、一度、客観的(←ここ大事!)に確認してみることが大切です。
写真で見てみる。
以前の自分と比べてみる。
専門家に体の状態をチェックしてもらう。
そうすることで、自分では気付かなかった体の変化が見えてくることがあります。
ただし、姿勢は「良い・悪い」の二択ではありません。
無理に背筋を伸ばし続けるよりも、自分の体の状態を知り、必要に応じて体を動かしたり、姿勢を変えたりすることが大切です。
「最近、写真に写った自分の姿勢が気になる。」
「肩や首が前に出ている気がする。」
「自分の姿勢を一度チェックしてみたい。」
そんな方は、一度、ご自身の体を客観的に見てみてはいかがでしょうか。
当院では、姿勢だけを見るのではなく、体の動きやバランスも確認しながら、その方の体の状態に合わせた施術を行っています。
自分では気付きにくい体の変化を知ることが、これからの体を整えていく第一歩になるかもしれません。
次回予告
「なぜ、痛い場所が原因とは限らない?」
について、次回のブログで詳しく解説いたします。お楽しみに!
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